ペイン

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンスのペインのレビュー・感想・評価

1.5
これがアカデミー作品賞ですか…😂あまりのショックにしばらく席を立てずスタッフに退出してくださいと声をかけられる始末(笑)

作り手が参照元に挙げていた、レオス・カラックス『ホーリー・モーターズ』や湯浅政明『マインド・ゲーム』、今敏『パプリカ』の足元にも及ばない出来。本当に本作がこれらの作品よりも面白く優れているとあなたは胸を張って言えますか?“アカデミー作品賞”というバイアスがかかって正当な評価が出来なくなってはいませんか?

『マトリックス』を初めて観て興奮した、“根気はあるが才能ゼロ”の学生が撮った自主映画のようである。

ここ数年のA24作品にはときめかなくなりつつはあったが、本作でもっていよいよ“新進気鋭”でも、“旬”でもない盛りを過ぎた製作会社であることが証明されたかもしれない。

また極端な話、アカデミーの作品賞なんてものも、昨年の『コーダ あいのうた』のような“地に足のついた”全方位的に“嫌われない”作品に賞をあげておけばいいわけで、本作は会員が下手に大衆の声やポリコレに配慮し過ぎた故の“カラ回り”受賞のようにも思える。

家族家族とやたらウエットな物語なのは勿論のこと、その語り口も常に“保険”がかけられていて説明的でくどく、観客への信頼及び作り手の自信がまるで感じられない。また、その“保険”が物語の飲み込みやすさ等に作用しているのかというとそれまた非常に微妙なのである。

今回はルッソ兄弟という大きな後ろ楯を獲て大舞台に踊り出たが、この監督コンビはきっと大物と組まずに細々と『スイス・アーミー・マン』や『ディック・ロングはなぜ死んだのか?』のような作品を撮り続ける方が向いてるのだろう。

ミシェル・ヨーやキー・ホイ・クァンといった俳優の思い入れがあれば、まだ観れる部分もあるのかもしれないが…うーん。私的には『チャイナタウン』や『ブレードランナー』のジェームズ・ホン(94歳!)が観れたことが本作の収穫、ということで+0.5。
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