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エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンスのandesのレビュー・感想・評価

3.7
ギャグがクドいしかなり人を選ぶ映画。整合性とかを言い出したら、多分かなり粗もあると思う。個人的には中盤までかなり苦痛で、全く笑えないネタばかりで駄作認定しかけたところに、ようやく話が動いてくれた印象。
まぁ、ゴテゴテした装飾を取り外すと、かなりシンプルな物語。ぶっちゃけマルチバースパートをカットして、確定申告→新年お祝い→監査官乱入→キー・ホイ・クァンの優しさで逆転→母娘の和解、で成り立つ話。
ただマルチバースを挟んだことで「どの世界でも後悔や挫折はあるけど、どの決断でも喜び=Joy(ジョイ、娘の名)はあるよ」とのことがわかる。つまりエブリン・ワン(Everyone=みんな)にはJoyがあるとの分かりやすくメッセージ。でも、心が腐って“ベーグル”になると幸せは見えませんよ、と。
虚無がメタバースを破壊するのは「ネバーエンディングストーリー」を思い出したり、平行世界モノとしたら古典とも呼べる「素晴らしき哉、人生!」などいろいろ想起させられる。多分日本アニメではよくある手法なのかもしれない。
シンプルなメッセージには感動したが、監督の作風にはあわなかった。あと、ミシェル・ヨーの女優パートは、ウォン・カーウァイのパロディ。「花様年華」ですね。
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