adagiette

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンスのadagietteのレビュー・感想・評価

4.0
”何言いたいかはわかるけど、何言ってんのか全然わかんない"
劇団・幻灯劇場の『鬱憤』というお芝居の台詞なんだが、本作鑑賞中・鑑賞後に ぐるぐる脳内を駆け巡っていた。

中華系移民の主婦と マルチバースの組み合わせ。
そこに カンフー女優からハリウッド進出に成功したミシェル・ヨーがバチッとはまった。

女性脳は複数のことを同時進行でやるマルチタスク適応型、なんて話がホントかどうかは知らないけど、現実に 時間をブチブチとちぎって そこここに 充てていくような感覚はある。
家事に加えて、家業があって、金の心配があって、移民で、と要素が加わったらブチブチ度はさらに加速されよう。

それらを"納税"という行為に集約して見せ、都度、必要な能力を異世界からインストールしつつ闘い抜く。

ただ、 "納税"を生き延びることは目的ではない。
一番大事なのは家族、我が子、大切な大切な娘をやすやすと失ったりはするものか。どこかで彼女らしく生き延びてくれたらそれでいい、なんて甘っちょろいことでいいの?
私が手塩にかけて育てた娘の幸せは、自分自身の幸せでもあるはずだろう?というわけで ラスボスは手に負えなくなってきた我が子、ってことかな?

中華系勢ぞろいの中、特殊メイクで国税の窓口を支えてくれたジェイミー・リー・カーティスなど 配役が盤石。
ヨーさまの夫役は、インディアナ・ジョーンズのネパール回の少年役だった方なんですね。
米映画界に参入して長年がんばってきた中華系がココまでやったよ!というのが感動ポイント加算してるのかな?という印象でした。
adagiette

adagiette