いしんじ

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンスのいしんじのレビュー・感想・評価

4.8
国税庁で、一般市民たちが、日常的な格好で、バチバチにやりあう。しかも、あんな感じのばあさんがゴリゴリに戦闘力高い。そんな始まり。私そういうの大好き。

他の世界が、華やかだったり技能を極めていたり、かなり「それぞれの世界の世界観」が強く定まっているからこそ、国税庁の見た目はこんなにも「平凡」で、その「平凡」の中で「ゴリゴリのアクション」をやってるからこそむちゃくちゃ良い。けどこの部分を言語化するのムズー! 他の世界はある種分かりやすい「キャラ付け」のために衣裳着てたり、アクセサリーつけてたりするけど、最初の世界は「その人がその人のお洒落として着てる服やアクセサリー」っていう、このさっきまで普通に流れてた日常の断片になってるのがすんごい性癖なんですわ。

しかも、それが国税庁っていう、絶対現実では戦闘しない見た目の中でやるんでね。最高です。

世界のリンクが目まぐるしく行われるのは、置いていかれそうに思えて案外置いていかれない。仕組みや感覚、そういった諸々への理解は観ながら徐々にできてればそれでいい。主人公が次第に慣れていくように、観客も徐々にその感覚を掴んでいければ全然理解出来るし、割とそう作られてる気がする。

何度も「まさかこれで終わらんよな」と不安にさせられるような瞬間もあるけど、それでも映画は勝手に進むし、それをひたすら追いかけていけばいい。着地すべきところへ着地する。
いしんじ

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