このレビューはネタバレを含みます
「北米版映画クレヨンしんちゃんなのか!?」と思えるような序盤から、マクロな視点でさまざまなマルチバースを描いていき、最終的にミクロな家族の視点に帰着していく。序盤のはちゃめちゃ展開からは想像できないくらい、びっくりするほど映画の構造が綺麗にまとまっていた。
マルチバースって、色んな空間や世界を行ったり来たりして拡散してしまい、連載が長期化した少年漫画みたいに話がとっ散らかってしまうんじゃないかと正直不安に思っていた。
けれど実際に観てみると、たくさんのマルチバースを経験したからこそ、全ての世界がリンクしたり影響しあったりしていく終盤の展開はめちゃくちゃ鳥肌が立った。同じマルチバースを映像として観て、視覚的かつ聴覚的に体験したからこそ終盤の1つの世界に繋がっていくライブ感がめちゃくちゃ気持ちよかった。
映像と音声と脚本とテンポと、「視聴」じゃなくて「体験」って思えるくらい全てが最高だった。
メッセージ性としては、「今を大切に生きる」という非常にありふれたものがメインに据えられているけれど、そのメッセージを伝えるためのストーリーが凄い。主人公と同じ目線で、はちゃめちゃな出来事を体感したからこそ、そして映像でマルチバースが繋がるライブ感を体験したからこそ、身体に沁みいってくるようなカタルシスがあった。めっちゃ面白かった!!!