大げさな物言いではあるが、現代映画史の到達点。
アクション、SF、アート、コメディ、下ネタ、感動、家族もの……すべての映画がやろうとしたことのすべてをぎっしり詰め込んでやり切った映画ではないだろうか。
多少混沌が過ぎるのは気になるが、ベーグルとは映画の彼岸であろう。そこをギリギリで踏み止まったのは快挙と言える。
コンセプトとしてはいろんなものを想起させる。たとえば『インセプション』『脳内ニューヨーク』『TAKESHIS'』『ハウルの動く城』『サマーウォーズ』なんかがパッと浮かぶんだけど、いちばんしっくりくるのはドラえもんの『もしもボックス』。
ただあれだ、このマルチバースとかいうのもただのハッタリで、要はいろんなジャンルを詰め込んだカオス的世界を作り出すための方便に過ぎないと言える。「なんでもあり」はギリギリ回避できてはいるものの、ノレない人は置いてけぼりを喰らうだろう。