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エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンスのbluebeanのレビュー・感想・評価

3.5
個人的にあまり乗り切れませんでした。作品のせいというより、自分が完全に見方を間違えてしまったせいかも。マルチバースものということで、ついついSF作品を見るスタンスで、頭の中でストーリーや設定の整合性を取ろうといろいろ考えながら見てしまったのが失敗でした。

実際は、幅広いバリエーションの楽しいビジュアルイメージを、ものすごいテンポで連続して見せてくれる映画でした。そのテンポで、いろんなコメディネタやパロディ、そして下品なギャクまで詰め込んだ、混沌とした世界観です。取り止めもない連想や妄想といったイメージで、考えるのではなく感じるタイプの映画だと感じました。考えてたらとてもテンポに追いつけずに脳がパンクします。

マルチバース設定やコメディの情報過多な部分が、いろんな人生がありうる現代社会のメタファーになっていそう。その中で自分の家族との今の生活を大事にするという、地に足のついたテーマに感動するべき作品だったんだろうな、と後から考えればわかります。でも見ている最中は余裕がなかった・・。

感動的だったけど、泣くまでには至らなかったのは、自分が親子の確執というものを子供の側からも親の側からも経験したことがないのかもしれません。母娘が荒野で石にになって話すシーンなんか、すごく良いビジュアルで感動的なシーンなんだと分かるのですが。

コメディシーンもいまいちハマらなかったのですが、軽い気持ちで流してみればもっと笑えたのかもしれません。アカデミー賞も受賞したことですし、機会があれば、違うスタンスでもう一度見てみたいと思います。
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