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エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンスのサンプルHDのレビュー・感想・評価

5.0
この映画には、賛否両論のレビューがついている。その気持ちもわかる。なんなんだこれ、と思ってしまうのもわかる。ただそれでも私は100%の賛を送りたい。

おそらく、パラレルワールドというものの概念を理解していないと難しいだろう。この世は決断の連続で、その決断がいまの自分を作っており、少しでもそれが違ったものであれば、それは大きく人生への影響を及ぼす。
私は時々こう思うことがある。あんときああしていれば、あの日あの時あの場所で~♪といった具合で過去を振り返り公開するのだ。自分語りになって申し訳ない。ただ、そういったことを思うこともみんな誰しもがあるんじゃないだろうか?そういった気持ちをこの映画は肯定してくれる。
過去に対しての悔いは確かにわかる。ただ、それを考えたところでどうにもならない。さらに、過去のその決断で得たものだってあるはずだ。例えば今周りにいる友達、家族、なんでもいい。それらはあの時私たちがああしていたからこその産物である。過去の自分を否定することは今の自分を否定することにもなる。楽観的になれと言っているのではない。ただ、今の自分を愛してあげて、そんな気持ちに、この映画はさせてくれる。

また、もう一つ、とてもよかったのは、アジア系の家族の形をすごく詳細に表していること。
他のハリウッド映画を見ていると、このようなシーンがよくある。I love you, mom/dad. I love you more!
は?と私は思う。両親が日本人で育ってきた私は、親に愛してるなんて言われたことがないし、言ったこともない。口が裂けても言えない、いや、言わない。それは自分が愛のない家庭で育っているというわけでは全くない。断じて。ただ言わないだけなのだ。照れくさいのだろうか?そこらへんはわからない。
本題に戻ろう。この映画では、私のような家庭(東アジア系)?をよく描いていると思う。ひとくくりにするのは憚られるが、少なくとも私はそう感じた。ぎくしゃくとした親子関係を鮮明に映し出す、それは今までのハリウッド映画が無視し続けていたものを取り込んでいるともいえるのではないだろうか。素晴らしいよ、この映画で自分もまきこんでくれるかのような法要感さえ感じた。ポリティカルコレクトネスがなんだとかいうやつがいるが、黙ってみとけ。そう思う。

総じて、最高の映画。ちょっと下ネタ要素が強い気もするけど、そこも含めて好みだった。
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