このレビューはネタバレを含みます
何のこっちゃ、これあれか?
難しい系のやつか?
ほんとに面白いと思えるか?で
前半進んでくのに、
後半じわじわと、
あれ、なんかわかりそうだな?お?お??
からの、
そういうことが言いたかったのかーい!!!!!
って一気に合点がいって平和な鑑賞後感。
主人公、エヴリン。
夫婦で営む潰れかけのコインランドリーの
運営に忙殺されながら、
保守的ですっかり老いた父親の介護と、
噛み合わない一人娘と優しいだけで頼りにならない旦那の相手をしながら、
国税庁に領収書を提出に行くところからスタートして、
なんやかんやでマルチヴァース、パラレルワールドを行き来して宇宙の悪と戦うことになって、
結果ラスボスである自分の娘を救って宇宙も救う。
(何のこっちゃ)
こうやって書くとめちゃくちゃ過ぎて何のこっちゃだけど、
めっちゃ身近な話だった。
最初のエヴリンはまじでもういっぱいいっぱい。
忙し過ぎてはち切れそうで、自分は頑張ってるのに!!っていうあるあるで。
結局必死過ぎて自分のことばっかりで周りが見えなくなっちゃってる。
じゃあそれが別の世界線だったらそうならなかったかと言ったらそんなことなくて。
「あの時ああしていれば」の世界線でも結局自分は自分で根っこ同じだから違うことでも同じようなことが起きる。
異次元跨いでる間にそんなことにたぶんエヴリンは気付き始める。
目の前のことしか見えていなかったものが、
別の問題が発生したことで俯瞰で見えるようになる。
目の前の問題の大小、優先度が生まれ始める。
問題は次から次へと発生する。
争いもなくならない。
次から次へと発生し続ける。
そして、
結局大きな問題が出てくれば出てくるほど、対峙している問題もちっぽけになっていく。
より大きなものに気付いた時、目の前のものは小さくなる。
そうなるともう何もかんもちっぽけやん。
という事実にも気が付く。
エヴリンの娘は結局そんなちっぽけなことで争い続ける無限ループに疲れてしまって、
宇宙を終わらせようとする。
↑これってなんか
「他所の国では戦争が起きてて平和な国に生まれて安定した衣食住があるなんてなんて恵まれてるんだから仕事の悩みなんて大したことない」って思い込もうとするあれに近いんじゃないかなと。
でもだからって、
そうだね、小さな問題だから大丈夫だよ。
とはならんのが人生なんですわたぶん。
目の前に対峙してる自分にとってはもう大問題もいいとこよ。
理屈はわかってても、目の前にいる限り、この問題解決しないと自分の人生進まないんだもん。
エヴリンも「そだねー疲れたねーもうどうでもいいねー」とはならない。
(それは結局家族愛の側面がデカいんだけど)
愛する娘を失うわけにはいかん。
*何なら娘も本当はたぶん同じで。
宇宙を終わらせる=自分も消える→消えたくない、って顔を消えかけながらしてるのがポイントだと思う。
本当は助けて欲しい。
本当は争いたくない。
本当は生きたい。
大変だから。人生。
うまくいかないことの方が多いしやるせない。
終わらせたくなっちゃうのもすげーわかるなってなる。
けど本当は幸せに生きたい。
これってきっと全人類そうなはずなのよ。
映画の中で娘と対峙してるのはエヴリンで、
娘を助けることはエヴリンが決めるんだけど、
そんなエヴリンを旦那や父親が助ける。
めっちゃベタなんだけど、それが人間ってやつだし、
そうやって生きてるよねって話。
ラストはノーマルのエヴリンの世界(コインランドリー)で終わるんだけど、
もうアウトかと思えた国税庁の監査?を旦那がエヴリンの代わりに監査のおばちゃんに事情を丁寧に説明して、
おばちゃんも自分が大変だった時があるからっつって恩情見せてくれて。
エヴリン1人で解決しなきゃと思ってたことが、
味方の助けと、
敵だと思ってた相手の情けで、解決する。
人は1人じゃないし、
優しさが救いだと思わんかね?
世界ってそういうことでしょ?
人間ってそれできるでしょ?
そうあれよ!
ってメッセージが込められた映画だと受け取った!
めちゃ真っ当だし、全世界に伝えたいであろうメッセージよ。
そしてこのメッセージが感覚的にわかるようになってるのがとにかくすごい!(文字にするの大変だった!笑)
芸術でありエンターテインメントの力が感じられる作品なんじゃないかと!
あとはとりあえず映像のセンスもやべぇ!笑(すごいという意味で)
ただ楽しい映画とはちょっと違う気もするけど、ぜひ観てみてほしい。