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エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンスの10000lyfhのレビュー・感想・評価

4.0
人生のあらゆる選択肢ごとに分岐した無数のマルティヴァースにそれぞれ存在する自己を、瞬時に、体感的には同時に、移動する能力を持ってしまった、中国系 1世アメリカ人女性。監督が第一にやりたかったことは、上記の感覚の映像表現だろうが、細かいカット割りやポスプロも駆使し、まずまず成功している。それを映画というフォーマットに落としこむにあたり、人生ドラマ/家族ドラマに仕立て上げているが、それも無理なく自然。一般のドラマ映画では、中盤で人物の直面する課題が困難なほど、結末での解決感が高いわけだが、本作では圧倒的な情報量がその役割を果たしている感じ。さらに、ディテールでは名作映画のパロディ/オマージュ、ぎこちないマーシャルアーツなどのユーモア、主演女優が実世界で経験している女優業シーンなどのメタ要素を詰めこんだ、シネフィル映画となっている。アジア系の起用も自然で、今後、「他者」目線の映画製作は一般化するだろう。劇伴はモダンな小オケ、DAW で、センスよく手堅い
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