MasahideYoshida

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンスのMasahideYoshidaのレビュー・感想・評価

4.4
2022年公開
監督 : ダニエル・クワン&ダニエル・シャイナート
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家族と仕事と、人生に疲れた母親が、納税に行った役所でなぜか、マルチバースと接続してしまうお話。

どんなに世界が虚しく、繰り返しに見えて、何にもこれからこの後よりよくなんかならないような気がしても、ほんのわずか笑えることがあってそれを共にできる人がそばにいるなら、そばにいてもらいつつ毎日、家族と納税と向き合おうという物語。家族との摩擦と和解を、スーパー大袈裟にマルチバーシーに描いた活劇とも言える。夫からは優しさを、父からは過去から逃げない勇気の必要性を、そして娘からは向き合って話をするということを。

全てが繋がりすぎて相対化されてしまうが故に、自分が自分である必要を感じられず、虚無に飲み込まれて、そしてそれが母親にわかってもらえずにいる娘の心理が、若者研究者としてはわかってわかって。そこに対して、主人公エヴリンが出した最後の答えが、泣けます。I'm your mother!!!!

時に馬鹿馬鹿しく、時に無茶苦茶に、目まぐるしく展開される一方で、テーマはある意味シンプルなので、あまり難しく考えずに見るのがいいと思います。いやあしかし、作った人天才。いずれもう一度見たい映画。