光好尊

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンスの光好尊のレビュー・感想・評価

3.9
SFとアクション、コメディ(B級)が絶妙に混ざり合う一見ヘンテコ映画。本作は相当にデフォルメされているとはいえ、マルチバース自体は現代物理学で真剣に議論されている話題の一つ。

量子力学によれば、ミクロな系ではある物理的事象は観測によってしか「決定」しない(「シュレディンガーの猫」)。古典物理学による決定論的な世界観から、現代物理学は自由意志的な(可能性にひらかれた)世界観を措定せざるを得なくなった。

物理学者が嫌いそうな議論ではあるが、人生における選択はあらゆる可能性にひらかれている。あらゆる可能な世界があったとしても、それでもなお当のこの世界を受け入れようとすること、そのように意味づけること、意味づけられるような人生にすること。
光好尊

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