haru

テオレマ 4Kスキャン版のharuのレビュー・感想・評価

テオレマ 4Kスキャン版(1968年製作の映画)
3.5
ブルジョワ一家に捧げるレクイエム。

突然ブルジョワ一家に現れた一人の青年。彼はその存在だけで一家全員と家政婦を虜にすると、突然去ってしまう。

明らかにタダモノではない感プンプンなテレンス・スタンプに魅了されたセレブ一家が崩壊していく話。
前半はブニュエルみたいなブラックなコメディ風でしたが、後半青年が去ってから宗教色濃いめな、やっぱりよくわからない話に。モーツァルトのレクイエムにのせて、石になったり、芸術の道を探求したり、若い男に走ったり、全裸で叫んだりとそれぞれの道を爆走する一家。その中で唯一労働者階級の家政婦さんだけが聖なるパワーを手に入れ、数々の「奇跡」を起こす。その源は草。食べすぎて髪も緑色に。
てっきりテレンス・スタンプは神か何かかと思いきや、パゾリーニは違うと言う。でも彼は少なくとも人間ではない何かで、ブルジョワ一家に喝を入れに来た存在なのですが、彼はほぼ何も語りません。その後に一家が辿った道が幸せなのか不幸なのかはわかりませんが、ルールに則って一生懸命社会の中で生きている者からすると、妙な爽快感を味わえます。
haru

haru