ロアー

声/姿なき犯罪者のロアーのレビュー・感想・評価

声/姿なき犯罪者(2021年製作の映画)
3.6
韓国で年々増え続けている振り込め詐欺を題材としたクライム映画。
振り込め詐欺=オレオレ詐欺という認識でいた私は「年々増え続けてるってどう言うこと???今時そんなのに引っかかる人いるの???」という疑いを持って観始めたんだけど、そんな認識は今すぐアップデートすべきと反省しました。

そもそもオレオレ詐欺と振り込め詐欺はもう別ものと考えた方が良さそう。今時の振り込め詐欺はオレオレ詐欺のように片っ端から当てずっぽうに電話を掛ける訳じゃなく、スマホから抜かれたデータや裏ルートで手に入れた名簿を使い、ピンポイントでその人の一番弱みとなるものを狙い、その人の一番欲しい言葉で騙すという恐ろしい手口だった。

振り込め詐欺の組織も大きく、偽サイトや電波妨害などあらゆる手段を使っているから、1人の相手からかかって来た1本の電話なら疑いを持つ内容でも、複数の媒体や複数の人間を介することですっかり信じ切ってしまうのも無理がない。
リーダー役のやり過ぎとも思えるクレイジーさも面白かったんだけど、その煽り方が会社の営業成績を上げるための鼓舞のようで、犯罪組織にも関わらずチームのような一体感や達成感を生んでいて、犯罪を犯しているという認識すらいつの間にか忘れて麻痺しているような盛り上がり方も恐ろしかったです。

そんな中、元警官という異色の経歴を持つ現場作業員が、騙されてしまった奥さんや社長のために単身組織に乗り込むというお話。知能犯罪を題材にした映画にも関わらずアクションもあって、勉強になると共にエンタメとしても中々見応えのある映画でした。
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