まちゃん

すずめの戸締まりのまちゃんのネタバレレビュー・内容・結末

すずめの戸締まり(2022年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

主人公の高校生、岩戸鈴芽が「閉じ師」の青年、宗像草太と共に向き合う不思議な扉。そこから出て来るミミズと呼ばれる存在は天災のメタファーだ。うねるように巨大なエネルギーが街に放出されていく姿は禍々しく恐怖の象徴としての説得力がある。そして扉を封印してミミズを封じる要石。この小さな存在によって辛うじて保たれている日々。地震の多い日本の国土の薄氷のような平穏を表しているかのようだ。この要石の化身、猫のダイジンによって椅子に変えられた草太。椅子と猫の追っかけシーンはユーモラスで面白い。途中までダイジンを追いかけながら二人で扉を封じる旅をする物語だと思っていた。しかし、草太が要石にされ、鈴芽の一人旅になった所から真のテーマが浮かび上がる。東日本大震災によって母親を失った鈴芽の過去。黒く塗り潰された3月11日の絵日記。母親を探して彷徨う4歳の鈴芽は絶望する被災者の象徴であり、旅を通じて成長した鈴芽は被災者の現在の象徴だ。序盤からの伏線が回収されて全てが明らかになった時は涙が止まらなかった。これからの鈴芽の未来は被災者そして復興を目指す日本の未来の象徴でありそれは明るいものだと信じたい。
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