てっぺい

すずめの戸締まりのてっぺいのレビュー・感想・評価

すずめの戸締まり(2022年製作の映画)
3.5
【鎮める映画】
JKとイケメンの純愛・成長物語、情景の美しさ満点、イスがコミカルに走り回り、ファミリーでも楽しめる。そんな映画の“ガワ”で見やすく作られた、本筋は震災に焦点を当て弔い鎮める、今見るべき骨太作品。

◆トリビア
○本作の小説版、コミック版(月刊アフタヌーン)が製作されている。また、マクドナルドのハッピーセットのおまけとして前日譚の絵本が配られる。(https://ja.m.wikipedia.org/wiki/すずめの戸締まり)
○本作の公開を記念して、新海誠コミカライズ5作品が一挙配信されている。(https://pocket.shonenmagazine.com/article/entry/shinkai_20221111)
○舞台は、冒頭すずめが住んでいるのが宮崎県日南市油津港、その他愛媛県の八幡浜港など。(https://www.kagoshima-gourmet.jp/archives/38876)
○ 新海監督は本作に対し、『魔女の宅急便』の影響を強く受けたと語っている。(https://ja.m.wikipedia.org/wiki/すずめの戸締まり)
○新海誠監督は本作を「日本で一番面白い映画かも」と自負している。(https://www.cinematoday.jp/news/N0133132)
〇すずめを演じた原菜乃華は、1700人を超えるオーディションから出演を獲得。過去新海作品では、上白石萌音や森七菜がヒロインを演じブレイクしている。(https://realsound.jp/movie/2022/07/post-1079188.html)
○松村北斗は、役作りで架空の“すずめ”と同居。風呂からリビングにいるすずめさんを呼ぶなどの練習を重ねた。(https://www.sanyonews.jp/sp/article/1329127)
○ 「君の名は。」「天気の子」でも声優を務めた神木隆之介が本作でも“芹澤朋也”役で出演している。神木は、芹澤役は自分ではないと一度断った。(https://thetv.jp/news/detail/1108655/)
○主題歌は当初「すずめ」のみの予定が、RADWIMPS野田の2年に渡る提案により「カナタハルカ」が追加された。(https://thetv.jp/news/detail/1108655/)
〇本作の企画書全文等が収録された「新海誠本」が入場者に300万部限定で配布される。(https://suzume-tojimari-movie.jp/saisoku.html)
〇地震の描写や、緊急地震速報を受信した際の警報音が劇中にある事を事前に注意喚起した。(https://getnews.jp/archives/3352057)
〇『すずめの椅子』の段ボールクラフトキットが予約販売されている。(https://suzume-isu-craft.com/)
○ 椅子というモチーフは、田舎のバス停にポツンと置いてあった、一人掛け用の木造りの椅子を新海監督が見かけたことが発想のひとつ。(https://cinema.ne.jp/article/detail/50501?page=3)

◆概要
【原作・脚本・監督】
「君の名は。」新海誠
【声の出演】
原菜乃華、松村北斗(SixTONES)、深津絵里、染谷将太、伊藤沙莉、花瀬琴音、花澤香菜、神木隆之介、松本白鸚
【公開】2022年11月11日
【上映時間】121分
【主題歌】
RADWIMPS「すずめ feat. 十明」「カナタハルカ」

◆ストーリー
九州で暮らす17歳の岩戸鈴芽(すずめ)は、扉を探しているという旅の青年に出会う。彼の後を追って山中の廃墟にたどり着いたすずめは、そこだけ崩壊から取り残されたかのようにたたずむ古びた扉を見つけ、引き寄せられるようにその扉に手を伸ばす。やがて、日本各地で次々と扉が開き始める。扉の向こう側からは災いがやって来るため、すずめは扉を閉める「戸締りの旅」に出ることに。数々の驚きや困難に見舞われながらも前へと進み続けるすずめだったが……。


◆以下ネタバレ


◆鎮める
物語の主は、日本各地の災いを鎮める事。前作では豪雨、“前前作”では彗星と、自然災害がテーマに描かれた新海作品が本作では地震。“あれ”から11年、おそらくその事実に疎いすずめの世代の子たちに響いてほしい映画だった。“すずめ”と“しずめ”は残念ながら繋がってないらしいが(新海誠本)笑、各地の災いを鎮めるために行うのは、その土地の記憶を聞き、寄り添う事。すずめと草太によるそんな表現が素晴らしかった。そして結果、時を超えて過去の自分と対峙し寄り添い、自らの悲しみを鎮めるすずめ。現実世界には、まだまだすずめのように過去を抱えた方が大勢いる事を考えると、涙の止まらない幼少期のすずめとそれに寄り添う現在の彼女は、まさに本作そのものが見ているこちらにあの“記憶”を訴えているよう。気持ちが抑えられなくなる描写だった。

◆コミカル
そんなカタルシスに導く本筋を、大衆向けにコミカルに描く工夫が多数。荘厳な雰囲気の草太が椅子としてバタバタ走り回る姿は微笑ましいし、ダイジンも愛嬌たっぷり(翻弄していると思いきや各地の後ろ戸に案内している、善人に転換される脚本もよかった)。新海作品ならではの空や海の情景の美しさが当然終始際立っていたし、個人的には、監督が本作で影響を受けたという魔女の宅急便が見え隠れする発見の楽しさもあった(イス草太に掴まって空高く舞い上がるシーンやルージュの伝言、すずめの肩に乗るダイジンなど)。

◆声優
原菜乃華と松村北斗は期待以上。すずめの息遣いのバリエーションには驚いたし、草太の奥太い声色もどハマり。新海誠本では、本作の始めのプロットですずめの名前は“なのか”だったそうでご縁あり。松村北斗も前述の役作りの努力がしっかり発揮できていたと思う。アニメ作品でありがちな俳優の声入れによる違和感が全くなく安心して見れた。

◆関連作品
○「天気の子」('19)
新海誠監督の前作。第43回日本アカデミー賞最優秀アニメーション作品賞・最優秀音楽賞受賞作品。雨の情景が美しい。プライムビデオ配信中。
○「君の名は。」('16)
新海誠監督の言わずと知れた代表作。主題歌も話題に。登場キャラが次作「天気の子」にもカメオ出演します。プライムビデオ配信中。

◆評価(2022年11月11日現在)
Filmarks:★×4.1
Yahoo!映画:★×3.6
映画.com:★×3.6

引用元
https://eiga.com/movie/96308/
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/すずめの戸締まり
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