なつ子

すずめの戸締まりのなつ子のネタバレレビュー・内容・結末

すずめの戸締まり(2022年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます



予告すらまともに見ずにいたので、チケットを取ってからテーマが震災と聞いて架空の緊急速報の音とはいえ大丈夫かなと不安になった。
震災が来た時自分も学生で、揺れるたびどきどきした記憶が蘇った。

Twitterが流行り始める前にチャットで知り合った人たちがいて、実際震災のあと連絡が取れなくなった人たちがいた。単純にネットの環境が物理的に失われただけかもしれないけど、沢山のいってらっしゃいを見てその頃を思い出した。
今の学生たちはあの震災の記憶が無いと聞いて、私が学生の頃だしそりゃそうだと月日を感じた。


早々に草太が椅子になったり、子供が見切り発車でこんな旅できる?手を貸した大人たち大丈夫?って正直感情移入が途中まで難しかったけど、気が付いたら引き込まれていた。

猫が苦手なのでシンプルにダイジンの存在が怖かったし、あのちぐはぐな声が余計に恐怖を倍増させていた。
神様っていうか巨悪の権化だと思っていたのに、すずめに拒絶された瞬間愛しい存在に成り下がった。
結局巨悪はみみずの方で、意思の疎通が出来ない災害の実体化に何となくウルトラマンがよぎった。

衝撃の大きい展開や結末が訪れる話では無かったけれど、あの震災を経験した人たちが受け入れて災害と共存し前に進む為のお話なのかなと勝手に思った。

草太が淡白な人間に見えるから恋愛要素が薄く感じたけど、最後にすずめを抱き締めたところで幸せになってくれと願った。

草太の回想に死にたくないという感情が見えたのは良かった。それをすずめが引き上げたことで、ダイジンがすずめを好きになるのは当然だとも思った。

すずめがおばさんに引き取られた件について両者思うところを言い合っていたけど、あれはすずめがダイジンを暖かい場所に引き上げてうちの子になる?って餌を与えたのと同じことだと暗に示しているのかなと思った。
ダイジンのこと解放したのに勘違いとはいえ突き放して、お前だっておばさんに突き放されたら嫌でしょ?っていう意地悪をサダイジンにされたのだと解釈してる。

結局2匹は要石として暗くて寒いところへ戻ったのだと思うと、それが本来の2匹の神様の役割だとしてもある意味ハッピーエンドではなかったのかな。ダイジンはすずめの一番にはなれなかった。

東京が沈没していないから前二作とは別世界の話なのかな。今までみたいに過去作品のキャラクターの登場は無かったように思えるけどどうなんだろう。

結局これが言いたかったのだけど、芹澤がち恋女が爆誕しちゃうって。
この作品でしか彼に会えないの?
登場した時の花柄の服も再会した時の服と車の趣味も、懐メロを壊れたオープンカーで聴いてるところも。喫煙者なのも全部◎
2万借りていたのは、日頃からふらふらした草太を繋ぎ止める理由にしてるんだろうなと、画面に映る度加点。ずっと良い男。好き。
男性キャラクターの感情の理解の為に草太の閉じ師としての仕事、ときどきキャンパスライフ〜芹澤を添えて〜を100話くらいやって欲しい。
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