村上春樹と新海誠の関係性を興味深くみてるんですが、「君の名は」が新海誠なりの「1Q84」であり、「天気の子」が「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」だとすると、本作は(隠す気もないと思うですが)「かえるくん、東京を救う」と「猫を棄てる」ですよね。
村上春樹の「かえるくん、東京を救う」は、大地震を起こすミミズを帰るが阻止する物語で、阪神淡路大震災と地下鉄サリンの影響下で創作されたわけですが、構造的にも似ています。
「すずめ」は東北大震災、地球温暖化、ロシアのウクライナ侵攻、そしてコロナ。数々の厄災を一つづつ「戸締り」していく物語として、現代的な力強さがありますよね。(まあ、それを女子高生に引き受けさせるのはどうかと思いますが。笑)
どんだけ壊れた世の中でも、
どれだけ憎しみが渦巻いてたとしても、
どれだけ生きていくことが過酷でも、
生まれてくる子供たちには、
「大丈夫だよ、あなたが生まれてきた意味はあるよ。世界は美しいよ」と(カルロ・ロヴェッリの時間解釈も引用しながら)すずめは子供たちに語りかけるのです。
「戸締まり」という行為は受け身で、ネガティブな側面もありますが、そう、それは希望への“起点”であり、それは私たち自身を救う事なんだと思いました。
「すずめの戸締り」素晴らしかった!!