すずめの戸締まりだけで戸を開けまくっている大入りのTOHOシネマズを避けてこっそりみてきた。ほぼ手ぶらで来てしまったので「新海誠本」と書かれたデカい特典の冊子を渡されて正直めちゃめちゃ困った。でも開いて読んでみたら、むしろこれが無料でいいのかといいたくなるほどの読み応えではあった。
ネタバレを恐れるなら、とりあえず「すずめが戸締まりする映画」である。ちょっとジブリを意識しすぎだとも感じる。ただ、もう少しだけ踏み込むなら……
「震災を描く」という行為はものすごくセンシティブであり、これだけ多くの観客による審査の目に晒されることももちろん想定したうえでこの作品を完成させることは、とても勇気のいることだと思う。そのうえで、実際に被災した方々がこの映画を観て何を思うのだろうと、考えてしまう。天災がある現実に対して、それをフィクションの中心として扱いながら、エンターテイメントに正しく昇華することの困難さを感じた。
