しばにゃん

すずめの戸締まりのしばにゃんのレビュー・感想・評価

すずめの戸締まり(2022年製作の映画)
3.2
前作『天気の子』にて、我ら童貞の代弁者たる新海誠監督が日本震撼のカムバック。
ファンタジー色が強そうな本作では一体どんな新海ワールドを炸裂させるかと恐る恐る見に行ったら、想像を遥かに超えてごく普通の大作アニメに仕上がっておりました。

相変わらず脚本はとっ散らかり気味で、「このシーンを描きたい!」が先行して、それに合わせて強引なストーリーを展開しているような印象。

それでも、3年前に咀嚼された米汁を飲んだり、子供同士でラブホにしけ込んだり等の、童貞の夢をオブラートに包まずに吐き出したような不気味な描写は無いので、生理的にキツいシーンは無く、非常に見やすい映画になっている。

でも、それがあるからの新海誠監督作品だし、一抹の物足りなさは感じる。
本当に、ごく普通の大味な大作アニメって感じ。
映像はとんでもなく綺麗なんだけど、どうにもあと一歩足りない。
エンタメ性と作家性を両立させるのって大変なんだろうな(個人的には新海監督の作家性は美しすぎる背景描写と不気味な童貞臭にあると思ってます)。


川村元気さんも過去作の脚本を見るに、きっとセカイ系が大好きな感じなので、新海監督とのコンビはいい具合に価値観がマッチするんだと思う。
本作も世界がどうなろうと愛する人を救いたいというバリバリのセカイ系なので、その辺りが好きな人には抜群な作品だと思います。

新海監督、また『秒速5センチメートル』のようなこじんまりしたトラウマ作品を作ってくれるのを楽しみにしております。
しばにゃん

しばにゃん