さゆ

すずめの戸締まりのさゆのレビュー・感想・評価

すずめの戸締まり(2022年製作の映画)
4.0
新海作品で本当にグッと来たの私は初めてだったかもしれない。

不勉強な私には少し説明不足に感じる部分はあったけれど、前提知識を持っていれば違うんだろうなぁ……と納得できた。(猫の神様、人柱、みみずなど)
深い悲しみから立ち上がる描写や、既に持っているものを慈しもうとする気持ちが凄く丁寧に描かれているので、心情的に共感できた。

社会的にも「今作ることに意義がある作品」だと思った。

(めちゃくちゃ個人的な鑑賞上の問題で、
私が青春を送った場所や聴きまくった曲が出てきて むずがゆくなってしまったのが何となく勿体なかった……)

その一方で
私がこの主人公と同じ経験をしていたら
直視できなかったような気はした。

3.11を描くことは悪くない。
悪くないと思うのは、そもそも誰も傷付けない表現など存在しないと考えているのもあるし、誰かの傷に触れる上での最低限の配慮はなされていたと感じるからだ。

でもこの作品は監督の名前で箔がついていて、(本人が望んだかどうかはさておき)大衆向けということにされている。
そこにさらに凄く綺麗な映像がついて語られてしまうと何かが押し付けてくるようで逆に辛いかもしれない、みたいなのは感じた。ずっと東京にいる私ですらトラウマ的に蘇るものがあったから。

いっそ古びた映画館の白黒映画とかで見たほうが見やすい映画かもしれない。
ジレンマだなぁ……
さゆ

さゆ