あんぱん

すずめの戸締まりのあんぱんのネタバレレビュー・内容・結末

すずめの戸締まり(2022年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

一言で面白かったとは言えない作品だと感じた。

最初は本当に面白くて、イスがイケボで「ゔっなんだ…これ…⁉ッッッ」とか言ってるの草すぎた
なかなか見慣れないし、イスで馴染み始めてるのも草すぎた

けど、いろんな人に感情移入しちゃう
すずめの誠実さ、実直さに色んな人が手を貸してくれたり、でもやっぱりそれをさせてるのはすずめで、なかなか見ず知らずの人のためにあんなに命を懸けて応える、行動する、愛するってことが出来るのがほんとに羨ましく感じた
だけどほんとはずっと不安だし、でもあんなに飛び込んじゃえるすずめが、貴方のいない世界が怖いって言ってるのが切実すぎた
ダイジンは、最初は本当に邪魔で鬱陶しくて、それでもいなくなれって言われた時のしおれた姿が切なくて胸が痛くなった
あの子もあの子なりに全霊を込めて愛してた、でも愛し方が下手だった
そうたの友達、あんな友達を持ててうらやましい
こうしろと言うでもなく、期待するでもなく、でも信頼して心底心配してくれるような存在、
だれも反応しない〜てとこ面白かった 懐メロっていいよね〜すき
おばさんのあのシーン、ここ一で鳥肌が立った。怖すぎる、本当に恐怖した
けどあの後の、どれも本心だけどあれだけが本心じゃないよ、これに詰まってる。変にあれは嘘だよって言われるよりよっぽど本当で誠実な言葉だと思う。

これが3.11を描いてるって気づいた瞬間、涙が止まらなかった。可哀想、可哀想、可哀想。怖かったよね。受け入れたくないよね。しんどいよね、会いたいよね。しんどい。
被災してない私でもこんなにしんどかったんだから、実際に被災した方々なんか観れないと思う。でも、この事に思いを馳せようと思わせてくれる機会を与えてくれたことに感謝した。やっぱりどうしてもすぐ、忘れてしまう。終わった事じゃないのに、自分のことに精一杯になって忘れて、無かったことにしてる。悲しい。私が大切な人にそんなことされたら悲しい。
幼い日のすずめちゃんみたいな子がいっぱいいると思うと、胸が痛くて、苦しくなった。
でも、こうやっていい意味でも無かった出来事みたいにして、みんな乗り越えた「フリ」をしながら生きていっているんだと思う。そのフリが本当になるまで、ならなくても、そうやって生きていく。
でも、それをなかったことに被災してない人がするのは違うと思う。
この土地に生きていた人がいたってことに思いを馳せながら、おはよう、いってきます、ありがとう、ごめんね。て今日も言えたこと、言えること、それを伝えられることがどんなに幸せか。
それでもこの気持ちをずっと忘れずに常に生きていくのは難しいけど、それでも今までの生活よりは、思い出しながら、ちょっとでもいいから考える時間をとって、身の回りのことだけじゃなくて、一歩立ち止まってちょっとでいいから背伸びして、色んなものを見ようとしたり、感じようとして、もっともっと広い見方をできるような人間になりたいと思った。

面白いと言っていいのかわからないけど、本当に観てよかったと思う。少なくとも私は、ちょっとだけど昨日とはまた違う生き方になったんじゃないかと思った。

あと、幼いすずめちゃんに言う言葉が優しくて涙が出た。たぶん結構解釈で言葉は変わってるけど、
「これから貴方は人生の中で、たくさんの人のことを大好きになるし、たくさんの人に愛される。だから大丈夫だよ。」
今がしんどい時はもう無理かも、とかなんで私ばっかり、とかで頭がいっぱいになっちゃうけど、今がしんどくても、なんとなくでいいから生きてたら、それが報われるような愛とか幸せを感じられる日が来るから、生きて。て言われてるみたいだった
泣きながらご飯を食べたことがある人は生きていけます、こんなに悲しいのに腹が鳴る、
生きていったら振り返ったときに笑える日が絶対来る。
あんぱん

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