各地廃墟から噴き出る災いを閉じ巡りする日本縦断ロードムービー。深海監督はシナリオにSNSという現代人の密接なアイテムを絡めるのがとても上手いと改めて思いました。自然の描写の素晴らしさは言うまでもなく。個人的には街中とか住宅街の小道とか駅中とかの風景の身近なリアルがとても好きです。本作は日本縦断するハメに…ということで一種のロードムービーみたいに各地で人と触れ合い飯を食う！というストーリー。掛け合いのくだらなさに笑いご飯描写もとても美味しそう。このまま増えていったら深海飯ジャンルを確立できる（確信）本作ではとある設定によりアクションの幅がとても広がり、これまでの超常現象とは別のベクトルでダイナミックなシーンが多くエンタメ感はかなり感じました。アダルトなネタは抑えめになり全年齢に勧めやすい一作。と言っても、「そういう」シーンではないのにどこか扇状的に見えるシーンは健在。フェチの扉開け師新海誠。
「戸締まり」というだけあって「扉」が重量なキーポイントとなりますが、その存在と意味の見せ方が面白かったです。そして喪失（思えば深海作品はほとんど何か喪失してる気がする）に対してのアプローチが良かったです。
君の名は以降、終盤の展開の勢いの一部に「んん？」となっていたものの、そういったしこりが本作さほど感じなかったのがとても良かったです。（全く無いとは言いませんが考察の範疇？）「君の名は」「天気の子」と災い、男女、綺麗な空で現代人巻き込んであーだこーだなフォーマットが毎回ではありますが、毎回違う印象を受けるので驚かされます。特に本作は明確に前二作と異なる部分があるので足踏みしている人、天気の子で疑問符が浮かんでいた人（まあ自分だったんですけど）は是非映画館に足を運んでみてほしいですね。今なら特典でインタビュー冊子（企画段階の話は目から鱗！）が配布されているので。
