「あの日」を物語っていますが、その先の大切な人を「自然の脅威」によってなくした人々へ語っています。
正直なところ話題になっているから観に行っていましたが、震災に対してのメッセージ性が強いことに驚きがありました。エンタメだから恋愛要素を主張して自然災害はおまけ程度というのを過去作の印象を受けていましたが、本作はそんなことには目もくれず、なんなら過去作のようにやっていればもっと称賛の声が上がっていたものを監督は長年抱いていた想いを本作にぶつけていた気がします。勿論、人によってはストレートに震災をテーマにしているので、「不謹慎だ」という主張もあるのも当然。
でも、震災大国日本にいる以上また震災がいつ起きてもおかしくないし、あの日以上の震災が明日起こっても今日起こってもおかしくない。だから忘れてはいけないし、もし起こってそれによって大切な人が亡くなっても「前に進むんだ」というメッセージは少なからずともあった。
話が逸れるかもしれませんが、本作を観て震災で身内が亡くなった方の中には怒る方がいるでしょう。
でも、そうでない方のなかにはコロナ禍によって身内の人や大切な人の死に目に立ち会えなかったという人がこの作品を観て少しでも勇気付けられたという人もいることは頭の片隅に記憶して欲しい。状況は違えど、「自然の脅威」によって大切な人の死に目に立ち会えず、突然の喪失感を抱いてしまうというのは誰しもあるのだと思います。
