いかのてんぷら

すずめの戸締まりのいかのてんぷらのネタバレレビュー・内容・結末

すずめの戸締まり(2022年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

震災をテーマに描かれた本作。

警報音が苦手な方は覚悟して観ていただきたい。

監督によると2020年のコロナ禍に考えられた物語だという。 新しく建物を建てるときなど始める時には「地鎮祭」などがあるのになぜその場所が終わるときには何も鎮めないのだろうかという考えが以前からあったそう。本作は過疎化や災害によって人がいなくなってしまった場所を鎮めることも目的となっているようだった。

愛媛、神戸、東京...各都市をダイジンと呼ばれるネコのような生き物に導かれながら進む。その場その場で出会った人たちを縁が結ばれていくところに暖かさを感じた。

3.11
過ぎていく日常のなかで私たちが忘れてはいけなかったことを思い出させてくれた。あの「おはよう」「いってきます」「いってらっしゃい」が最後の会話になると誰が思っただろうか。地震慣れしてしまった私たちに改めてアラートを鳴らしてくれているようだった。

母を失くしたすずめはおばと暮らしており本当の親子でない二人の関係にも注目したい。作中おばが本心なのか勢いで言ってしまったことなのかはわからないがすずめに向けた言葉が胸に刺さる。
また本作は愛する人を失くす悲しみについても触れており、母を失った幼少期のすずめが泣きながら必死に訴えてくる様子は大人になった自分には胸が締めつけられるようだった。


一度では消化しきれない要素が詰まっているもう一度観たい映画。
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