ぼさー

すずめの戸締まりのぼさーのレビュー・感想・評価

すずめの戸締まり(2022年製作の映画)
3.5
新海監督が多くの宮崎駿監督から影響を受けたことを随所で表明している作品と感じた。二度目はオマージュ部分を探しながら観ると面白いかもしれない。

<構造>
・ロードムービー
・謎解き

<メッセージ>
海外上映を意識して地震大国日本を紹介し災害が人生に及ぼす影響を劇的に描いていると感じた。
消費社会において次の大切さを描いていると受け取った。
・失われつつあるモノ
・人との繋がりのなかで残されたモノ
・記憶に留めておくことに価値があること
・過去のある時点からの自己成長を自覚すること
特に何らか自己成長を自覚することで明日へと踏み出す自信に繋げられるというメッセージ。
すずめが過去の自分の姿を目の前にして自分のなかで理解したのはそういうことだったように思う。

<物語進行>
『秒速5センチメートル』のように丁寧に心情を描くことはせず、ハリウッドのアクション映画のように適度にアクションが散りばめられてテンポ優先で飽きさせない作りになっている。謎解きも知的好奇心を刺激するような難解さは排除されて、老若男女が受け身で自然と理解できるように表面的な謎解きに留まっている。

<撮影・風景描写>
新海監督らしさが最も表れているのがビジュアル面だった。本作では風景描写が新海監督作品たらしめている。

<キャラクター、小道具>
宮崎駿監督作品からのサンプリングが随所に見られた。

・ラピュタからはシータの飛行石ペンダントのエフェクト
・魔女の宅急便からは喋る猫とルージュの伝言
・チャゲ&飛鳥のMV「On Your Mark」からはアルファロメオ車
・もののけ姫からはディダラボッチやモロ
・千と千尋の神隠しからはハクや異世界への出入り口
・ハウルの動く城からは魔法による物への変身

芹澤が乗るアルファロメオって一般に大学生が乗る車ではないから違和感があり、物語進行上のノイズになりうるものだろう。だから敢えて取り入れている感がある。
ぼさー

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