セサミオイル

すずめの戸締まりのセサミオイルのネタバレレビュー・内容・結末

すずめの戸締まり(2022年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

2日目にして思った事

すずめの戸締まりというタイトルについて

すずめとは言わずもがな鈴芽の事だが未見勢にとっては鳥のスズメだとミスリードされる。ひらがなにしたのはすずめのお宿みたいな既視感のある印象にして動員を狙ったと推測される。
戸締まりというのは作中の閉じ師が行う行為を指してるが、「鈴芽の戸締まり」とあるから実は鈴芽の心の整理、あるいはあはゆる時間軸が並列にある常世(とこよ)にいる幼少期の迷える鈴芽、ひいては現在の鈴芽自身を救う行為を指すのではないかと推測した。

ダイジンというのは「気まぐれ」でその手助けをしたのではないだろうか。
かなめ石に戻るのをあれだけ拒んだダイジンが幼少鈴芽を救ってからは素直に自らかなめ石になったところからそう推測した。

そう思うと閉じ師でもない鈴芽があれだけ活躍出来たのはダイジンが閉じの難易度を
鈴芽に合わせたとも考えられる。
国内を駆け巡るコースもダイジンからのはからいとも思えてくる。
地元から飛び出して外の世界に触れて最終的に鈴芽が閉じていた幼少期の記憶を気持ちよく開かせた上で未来に向かわせる。
これがダイジンが最初からやりたかったことであり物語の全てではないかと。
そうするとこの映画に1本筋が通るんだよな。



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鑑賞直後の感想

新海誠はとっくに童貞を卒業して今や立派な名誉童貞になってたんだな。
穿った見方をすれば受験対策をそつなくこなした優等生作品とも言えるが、素直に受け止めれば笑える所は笑えるし、ハラハラもした。絵もすごい。音楽も好き。
てらいもなくセカイ系に振り切った
姿勢も◎。
神木くんもいて深津っちゃんも沙莉もいて、ユーミンも聴けて◎
流石に主演のCVも良かった。
日本各地を駆け巡るストーリーも最高。
でも、これだけ大作風なのに笑えてハラハラしただけで良いのか?という問題がある。

気になるのはやはり置きに行った感だよね。
ユーミンも神木くん、沙莉の起用も嬉しい反面ものすごい置きに行った感。
神木くん、沙莉、深津ちゃん、みんなが大好きな人をとりあえず集めたんですよ。って感じでしみじみとこの人がこの役で良かったとはなってない。
最初から最後まで面白かったにも関わらず、思い返せば置きに行った感が全体にあって各シーンで「こんなん好きでしょ?」と訊かれてた気がしないでもない。
重いシーンであるはずのものも重く感じられなくなってた。
この映画はここに向かってますよってのが淡い。春先のカーディガンぐれー淡い。恋をしたいのかセカイを救いたいのか青春なのか。うーん、ディティールは楽しいんだけどそれらが収束してってない気がしたんだよね。
なので綺麗な作画もテンポ良い秀逸な編集も全部が軽さに繋がってしまってる気がしたんだよね。
やっぱり少しでもズンと響くものが欲しいじゃないですか。あるにはあったんだけど全体的に軽過ぎてそれすらもふわっとしてたというか。。。

観てる最中は面白かったし後々思い出すシーンもあるだろうけど心の映画にはなり得ないかなぁ。充分面白いんですが!