ゴン吉

すずめの戸締まりのゴン吉のレビュー・感想・評価

すずめの戸締まり(2022年製作の映画)
4.0
日本各地の廃墟を舞台に、災害をもたらす「扉」を閉める旅に出た女子高生の成長を描いたロードムービー。
新海誠監督のアニメーション作品。

九州の宮崎で叔母と二人暮らしをしている高校二年生の17歳の岩戸鈴芽(すずめ)は、自転車通学中に、廃墟の扉を探して旅をしているイケメン大学生の宗像草太と出会う。
彼に近所の廃墟を教えて一旦は別れるが、気になり教えた廃墟に行ってみると、古い扉を見つける。扉を開けると中は美しい夜空が広がっていた。
その後、地震と共に扉から煙のようなものが立ち昇るが、宗像が懸命に扉を閉めて事なきをえる。
その際に怪我を負った宗像をすずめは自宅に連れ帰り手当てをしていると、ネコがやってきて、宗像を一本脚の欠けた三本脚の子供椅子に封じ込めてしまう。
すずめは椅子に封印された宗像を元の姿に戻してもらうためにネコの後を追うが.....  

スズメはあちこちにいるごく普通の鳥で、主人公のような少女はどこにでもいる。彼女の名前はそんな意味が込められているのかもしれない。
主人公のすずめは初めて遠距離の一人旅に出るが、旅を通して様々な人々と接しながら成長していく。
ひとつひとつの出会いが微笑ましい。
新海監督らしい災害を軸にした作品で、美しい夜空や水のシーンが楽しめるが、初期作品のようなシャープで切れのある画ではなく平凡な画風になったのが悔やまれる。
ストーリーも万人向けで、個人的には初期作品の方が好き。
一方で怖いもの知らずの年頃の少女の成長と淡い恋が楽しめるカミング・オブ・エイジ・ストーリーを堪能できる。
RADWIMPSの主題歌は勿論のこと、”ルージュの伝言”(ユーミン)、” SWEET MEMORIES”(松田聖子)、”卒業”(斉藤由貴)、” けんかをやめて”(河合奈保子)などの昭和を代表する歌姫のヒット曲が作品を盛り上げる♪
思春期の女子高校生が初めての一人旅を通してこれまで歩んできた道程を振り返り、気付きを得て過去の辛い記憶に区切りをつけ前に歩み出していく。
「あたし 忘れてた 大事なものは ずっと前に もう全部貰っていたんだ 行ってきます」 
「おかえり」

2024.4 日テレで鑑賞(金曜ロードショー・地上波初放送) 
2022.11 THX認定劇場で鑑賞
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