笑わせてよ

すずめの戸締まりの笑わせてよのネタバレレビュー・内容・結末

すずめの戸締まり(2022年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

今まで観た新海誠監督の映画の中で1番好きだった!!!
今回も映像の綺麗さと壮大なRADWIMPSの音楽が売りの映画なのかなぁ〜って正直思ってたけど(失礼)、ストーリーがしっかりしていて深みがあって……スピリチュアル要素や民俗学要素と現代が上手く混ざりあって、何とも言えない感動を味わえた…本当に観て良かった映画!!!🥲


・ほんっっとにストーリーがまず良かった!!!「戸締まり」とは??って観る前は思ってたし最初ミミズが登場した時は何これ何これって混乱して、最初からクライマックスか!?位の情報量だったけれど見ていくうちに段々と設定に納得していた自分がいたし、ストーリーに説得力があるからこそ没入して見られた。すずめの出自があんまり分かってなかったけど「3月11日」って出てきた瞬間にそこに繋げてくるかぁ〜…と。日本に地震が多いという事実が実際あるから私たちの日常の延長線上にすずめ達の物語がある気がして、本当なら有り得ない設定なんだけどあるかもしれない、知らないだけで私達を守ってくれている存在がいるのかもしれない、と思わされてすごく興奮?感動?した。

・「東北大震災」難しくて重いテーマだけど重くなりすぎず、アニメ映画だからこそ出来る描き方で、新海誠監督作品だからできるやり方で伝えたい事を伝えているな、と感じた。芹澤くんが景色を見て「綺麗なとこだな」と言った時、「全然綺麗なんかじゃない」とすずめが返す。なんて事ないシーンだけど、ここに東北大震災の被災者の記憶と気持ちが詰まっている、映画の主題が籠ったシーンなのかなと思う。建物が朽ち果てて、取り壊されて更地になって新しい綺麗な建物が建てられて。そうやって人の営みは繰り返されていくけど、人の記憶や思いは簡単に消えてしまうわけではない。廃墟を戸締りしながら巡っていくことで、すずめは様々な土地の人々の思いに触れ、小さい頃に椅子とともに貰ったのに忘れていた大事なものは何かを知る。

・猫の「ダイジン」が凄く可愛かった…。すずめに「嫌い!!」と言われたら急に衰弱して…すずめから愛を貰ったら元気を取り戻す。違うかもしれないけど、ダイジンは要石でもあり、すずめ自身の投影でもあったんじゃないかな。すずめが自分のことを好きになって、大事にするようになればダイジンも元気になる、みたいな。実際おばさんから出てきた大きい黒猫の左大臣がダイジンを舐めて労わってる様子なんか、おばさんがすずめを大切にしている様子と絶対重なるように描写してるな、と思ったし。

・キャラクターがもうほんと……魅力的すぎる、みんな。すずめが旅をしていくうちに出会う人達全員が愛おしい。実際のヒッチハイクや家出旅って、こんな善意に満ちたものじゃないだろうし危ない人に出会わなかったのもそりゃ映画だからだろうなってのは分かってるけど、映画だから映し出せる「綺麗事」が観たくて映画観てる節もあるからすごく良かったと思う。でもおばさんが思わずすずめに本音を言ったシーンでは、「そこまで言う!?」ってとこまで言ってて、絶妙〜にリアルさも加えられてるからこそよりキャラクターが愛着湧くんだろうなとも思った。
ジェンダー論の観点からしたら旅で出会った女性たちとすずめの絆によって「女性の連帯」が描かれてるとも言えそう(ってうちの大学教授なら言いそう😂)
勿論男性キャラも最高!!!イケメンイケボで心が満たされました……。草太派が多そうだけど私はやっぱり芹澤くん派!!あのチャラそうな感じで教員志望のギャップもまず良いけど、悪ぶってても根は真面目そうでかつ良い人そうで……完全に沼らせるタイプの男子だあれは😇声が神木隆之介くんだったのびっくり!!!やっぱ神木くんの声って謎の魔力あるよね……なんだろ…はぁ〜ほんと好き芹澤くんみたいな人がいい!!!!尊い。

・音楽もやっぱり最高だったなぁ……RADWIMPSの音楽って人の心揺さぶるのうますぎでしょ、ほんと。「感動させるぞ!」感強いのに嫌味も無理矢理感もないんだよなぁ…あと新海誠さんの作品にピッタリすぎて、そういう風に努力して野田洋次郎さんが作ってるのかもしれないけど、作品を5倍くらい歌が良くしてる。新海誠さんと野田洋次郎さんが出会ってくれた世界線に感謝。「ル、ルール ルルルルルル ルールルルルルル」みたいな入りからのすずめの歌?っていうのかな?の幻想的な感じも合いすぎててこれ聞くだけで満足感えぐい。この歌のイントロ一生忘れないかも。

・懐メロ入ってたのすごく良かったし、カーステレオじゃなくてスマホのサブスクで曲流してかける辺り現代感めっちゃあって良かった!!「けんかをやめて」を入れてくれたの河井奈保子ファンには超嬉しいし、状況にも合っててなお良かった笑

・新海誠監督作品全部に共通することだけど、「青春時代だけにある独特の爽やかな空気感」を演出するの上手すぎないか!?!?いつもいつも、高校時代の頃を思い出して涙が自然と出てくる…こんなすずめみたいなキラキラした高校生活ではなかったけどそれでも高校時代の私たちだけが持ってた独特な気持ち、言葉には出来ないけど、そんな記憶が映像に表れてる気がして…直接的ではないんだけど…なんて言ったらいいのか。でも新海さんは天才なんだな、やっぱり。

・あと新海誠さんはSNSも作品に上手く取り込んでるな、といつも思う。Twitter(おそらく)にみんながダイジンの写真をあげることですずめと草太がダイジンを追うことが出来るって令和だなぁ…って感じ。数十年後、数百年後には令和のSNS文化を象徴する歴史アニメ映画にもなってるのでは???

・地震のアラーム音入れてるの個人的に凄く緊張感増して良いなと思った。耳に触る音だけどリアリティあっていい。

・すずめがスナックで絡まれた時に助けてくれたお姉さん、名前も知らないしちょい役だけど一瞬で好きになった。

・ジブリ要素ところどころにあるのも良かった!!Twitterでダイジンのことを「リアル耳すま(耳をすませば)やん」って言ってたり、芹沢くんがルージュの伝言を車で流したり。あと草原で草太とすずめが小さい頃のすずめを見送るシーン、もう完全にハウルの動く城の草原にいるハウルとソフィーにしか見えなかった…あの美しいシーンをオマージュしてくれたのはジブリファンとしても嬉しい。新海誠監督がジブリと宮崎駿監督をリスペクトしてるんだろうな、と思った。

・「行ってきます」「おかえり」日本語の美しさと文化の尊さにもこの映画が気づかせてくれた。


・焼きうどんにポテサラはあんまり合わないと思う。(個人の感想)



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