こーじ

すずめの戸締まりのこーじのレビュー・感想・評価

すずめの戸締まり(2022年製作の映画)
4.2
「君の名は」や「天気の子」にあったようなごちゃごちゃ感が消え去り、非常にスマートになった印象を受けた。個人的にはごちゃごちゃ感がいい方向に働いた「君の名は」の方が好きだけど、「天気の子」よりはずっと面白く観れた。

震災というテーマを真正面から受け止めて、真摯なメッセージを放っていて、心打たれた。いくらか甘さが残っているのだけど、これが実写なら鼻白んでしまうが、アニメーションなら悲観的な現実ばかりに囚われず真っ直ぐ理想を突き通す姿勢に逆に好感を持てた。

日本各地を巡るロードムービーでもあり、各地で出会う人々の実存感があり、その交流も楽しめた。冷静に考えると、家出同然の女子高生と交流を図るのだから、それぞれが相当現実離れしているとも言えるのだけど、意外なほど違和感がない。それは、その人たちが暮らす日常の背景美術が精密だからだろう。ここはさすが新海誠。

多分にグレーゾーンを含みながらも確かにある親子の愛情も、やや唐突な展開に面をくらいながらも、やはり感動した。
ラスト付近の未来に対するメッセージは、青臭さかろうが、子どもを持つ親の身としては、共感できた。

閉じ師関連の説明はやや首を傾げるものもあったが、真摯なメッセージとそれを展開する為の確かな技術力の方に感心が行き、観終わった後はとても良い余韻に浸れた。

余談
4歳のすずめが日記を書いているシーンがあり、4歳なのにもう文章が書けるの?と驚いてしまった。さすがに早熟すぎるのでは、と本編に何の関係もないところに引っかかってしまった。
こーじ

こーじ