サラ

すずめの戸締まりのサラのネタバレレビュー・内容・結末

すずめの戸締まり(2022年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

感想は後日。と書いておいて書くまでえらく日数がかかってしまった。
 過去に「雨を告げる漂流団地」にて3.11のフラッシュバックを起こしてしまった自分にとって、事前にそれを思わせる携帯地震速報のアラームがあるから注意喚起がなされているだけでなく、既に観たという人の評判からそれだけでなく「まんまやん」て場面があるとかで【相当覚悟をして見に行かねばならない】と思った。

 この映画を観てフラッシュバックは起こさなかったが、たまたま数日後体調を崩してしまって書き込みが予想より大幅に遅れた。体調不良は別に関係ないと思う。

 それにしてもなんでそこまでして見に行かねばならんのだという気持ちもあったが、何より新海誠監督のファンであること、そこまでのリスクをわかった上で描きたいものは何なのか。どんなストーリーなのか。

 そして自分自身フラバなんて乗り越えねばならない、という気負いがあった。で、観てみて確かに「まんまやん」て場面はあり、実際のとは違えど大画面の劇場でネットで観た予告編や初め12分よりスマホの警報はちょっとドキッとするものではあったが大丈夫だった。
 心構えがあるのとないのとではやはり違う。

 で、肝心の作品としての感想。
 ストーリーが…エンタメファンタジー過ぎてそこに3.11ぶっこまんでもいいような話な気がする。ファンタジー嫌いじゃないが主要キャラに共感しづらい。ヒロインすずめはスマホ一つで着の身着のまま日本縦断?的な思い込んだら猪突猛進って感じ(若さあるあるなのか?)だし、椅子に変わった扉を閉じる役目を背負った草太は、なんだか頼りないのか頼もしいのかわからない。
 設定のせいか二人の心情に共感しづらい。
 むしろ、道中で出会い世話になる人々や、親代わりに育ててくれた叔母との微妙な関係の心理描写の方が良く描けている気がする。
 ダイジンとやらのパッと見可愛く見えそうなのに残念な猫も、ダークな役柄のせいでキャラグッズが売られてても買う気さらさら起きない。
 
 結局監督は何を伝えたかったのか。要は3.11を風化させたくなかったの一言に尽きるのかな。あれから12年経つというなら生まれた子が小6になってるわけで知らない子もいる。これから増える。9.11だってもう知らない子が成人している。でも今でも見た目に限らず人々の心に傷は残っているのだ。

 賛否両論あるらしいが、この作品にどうしてもどちらか判定しなくてはならないと課されたら、残念ながら自分は否になってしまうかな。
 長編映画になってから新海誠監督は何か、自分の好きだった新海誠監督「らしさ」が薄れてエンタメ・大衆向けに走り過ぎて軽くなり過ぎ、安っぽくなってしまった気がする。それでも「君の名は」まではまだ良かったのだが。
 個人的には「言の葉の庭」や「秒速5センチメートル」のような繊細で静かな沁みわたる短編を、また作って欲しいと願う。
サラ

サラ