RyoS

すずめの戸締まりのRyoSのレビュー・感想・評価

すずめの戸締まり(2022年製作の映画)
3.7
常世の美しさと切なさが共存している風景、『雲の向こう、約束の場所』みたいでとても好き。

今までのうざいナレーションも無く、セリフは多いが冗長ではない、という理想のスタイル。音楽もRADに頼りすぎずにおしゃれで雰囲気のある音楽が多く、ジブリのような塩梅でとても良かった。個人的には『天気の子』の方がストーリー展開は好きなので、そっちでこの演出をやってほしかった。

幼少に震災を体験した人の気持ちの片し方の一つを描いた作品で、個人的にはストーリーもすんなり入った。突っ込みどころは多分猫なんだろうけど、たかが狂言回しに要石という超重要な役を当てがった上にその存在自体が謎と化してしまったから憶測を呼ぶだけで、ストーリーをうまく進ませるためのサンドバッグだと思えばなんとかなる(?)。

震災のあの風景、そして今の景色、自分が一昨年被災地を実際に歩いて回ったからこそより心に響いたのだと思う。あのすずめの戸と同じような場所を実際に見て実際に歩く。映画が先でも現地に行くのが先でも良いのだが、今の現実の日本とリンクすることで、この映画体験はより深く心に届くものとなる。まだ被災地に行ったことない人は是非行ってみてください。

これは前作も前前作もだが、日本神話や日本の文化を知らないと映画を120%理解することはできないけど全然知らなくても100%楽しめるように出来てるのはスター・ウォーズとかごく一部の作品だけで、日本だとジブリと新海誠だけなんじゃないかと思い始めてきた。
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