せいちゃん

すずめの戸締まりのせいちゃんのレビュー・感想・評価

すずめの戸締まり(2022年製作の映画)
3.1
この監督の作品はあまり響いた試しはないが、評判がいいので見に行った。
映像は変わらず綺麗。大きなスクリーンで見るのが正解。

この作品は「記憶の底に忘れられそうなもの」(時代の流れやトラウマや現実の多忙さなど原因は様々でも)に焦点を当てていて、それが廃れた地方都市の廃墟や被災地やすずめのトラウマとして語られ、それを鎮魂の戸締まりによって祓って、前へ進んでいく。
ただそれにふさわしい画調なのかシナリオなのかというと、よくわからない。この人のタッチ だと「レジャーランドの廃墟 」ではなく「廃墟風レジャーランド」みたいな軽さがつきまとう。「三丁目の夕日」の理想化された昭和みたいな、物語化された災害やカタストロフ。それに鎮魂を捧げられても何かズレてる感はある。そこがこの監督がヤングアダルト向きになってしまう根本というか……年寄りにはキツい所以だと思う。

若者のデートムービーとしてはもちろんオススメ。ほどよくロマンチックでほどよく泣けて綺麗な画面で、映画代の分は元が取れる。優秀な作品だと思う。
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