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すずめの戸締まりのプレコップのレビュー・感想・評価

すずめの戸締まり(2022年製作の映画)
4.2
観光映画としての楽しさが格段に増したエンターテイメント超大作。インディジョーンズのように、移動してきたルートをはっきり見せてくれるのが良い。

閉じ師の設定にはいくつかの掴みにくい点があるが、これまで新海誠作品で描いてきた日本の民俗学的地盤の到達点で、その推進力には目を見張るものがある。今作はそこに、さらに廃墟思想という西洋的アプローチも加わっていて、そこにいた人々の声を聞くノスタルジックな観点も新鮮であった。

演出もこれまでの作品よりスマートになっていて、タイトルの出方や説明的でないささやかな変化を表す描写の巧みさ、抑えめの音楽の出し方が特に輝いていた。個人的には冒頭のダイジン、草太、鈴芽の追いかけっこでのスイングする音楽の盛り上げ方が白眉だと感じた。

災害の描写については直接的な表現も含み、現実的写実を取り上げているため賛否両論あって然るべきだが、少なくともただ感動のネタとして消費することなく、真摯に向き合う姿勢を感じることができた。
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