ジュリアン

すずめの戸締まりのジュリアンのレビュー・感想・評価

すずめの戸締まり(2022年製作の映画)
3.0
少なくとも僕は割とポジティブな評価だったけど、何でだろう。

そもそも雀の戸締りは内容以前に自分に刺さる箇所が多すぎたのはある。パタナリスティックな母子家庭像の提示や離婚した父が赤いオープンカー乗ってたこと、学生時代に1年に一回はさんふらわで九州行ったり、王子公園や十三の商店街で飲み歩いたこと、六甲に住んでたから摩耶山から展望できる神戸の光景に思わず懐かしさも覚えた。

一方で、セカイの為に奮起したキミとボクという間柄だからといって教師志望の人間が高校生と結ばれるのはフィクションでもスムーズに行かなかった。無理。非実在美少年でそれが可能なのは、多様な女性像や女性の連帯を描かずに脱臭化したメロドラマだけだと思う。親もいて、心配になる周囲の人間がいるというのを丁寧に描いた後にやるとノイズが大きいだけだったかな。

あと、天皇が可視化されない代わりにアミニズムが出てくるタイミングで音楽が掛かったので、右翼で優生思想の野田洋次郎を思い出しちゃってキツさはあったかも。

とはいえ、芹沢的な同性の連帯は好きだし、汚くて綺麗な不可逆な震災以後も良かったし、震災以後のサバイバーをフィクションに仮託して良く描いてたように思う。