寝るのだいじ

すずめの戸締まりの寝るのだいじのネタバレレビュー・内容・結末

すずめの戸締まり(2022年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

日本の天災は人の手で代々抑えられてきたので、その抑える家系の人と、かつて天災に見舞われて天災の予兆が見えるようになった女子高生ががんばる話。

「東日本大震災から10年以上経ったから作ることができた作品」と呼ばれるだけあって、震災による心の傷や犠牲者への想いの落とし所が、「今後も人の手で防いでいく」「どんな過去も受け止めて自分の糧にしていくことが、犠牲者や傷ついた自分自身への弔い」という形になっていた。
観ることができて本当に良かったし、心から感動した。

作中で宮城か福島が荒廃していたのは、現在の福島沿岸部とよく似ていて観ていてしんどかった。

これまでの「君の名は。」「天気の子」は、天災をファンタジーにしすぎてバカにしているのかと憤りを覚えていた。そんなに丸く収まらないし、誰かの犠牲を良しとしていた。
人の犠牲を良しとしてしまっては、天災は手出しできず仕方の無いものであり、自然に抗えないのではなく人が生け贄になることが正しい、とでも言うようだったからだ。
全員が無事であることは天災では無理かもしれないが、実在の天災をテーマにしている創作物である以上は、救いと希望がほしいので、良い作品と出会えたことも運命の良さと思わせてくれた。