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すずめの戸締まりのyayouのネタバレレビュー・内容・結末

すずめの戸締まり(2022年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

世間がすずめに沸いている頃、深夜のTVで『秒速5センチメートル』、配信で『言の葉の庭』をみていた。単にあまのじゃくだったのだけど、無意識に見ようとしなかったのかもしれない。

この映画はちょっとキツかった。
震災や地震のシーンがというだけでなく、それを鎮めるための犠牲がいるということに、気持ちが沈む。
子どもの頃に、人柱や人身御供のような、昔の建造物を作る時の話や伝説を聞いたとき、いたたまれなかった。
実際に、災害や今廃墟といわれるところにも、犠牲になった人や自然や物はたくさんあるから、直接的な命を絶っての捧げ物でなくても、多くの犠牲と命の上に今があり、それは同じことなのかもしれない。
でも、ストーリーであっても、今生きている命をさしだして防ぐしかない絶望感。
小憎たらしかったり、ちょっと気味悪くてこわいダイジンの、前身はなんだったんだろうかと考えてしまう。色々と台詞が深くて。
こういうのを思うとき、いつもミスチルHEROの冒頭の歌詞を思い出す。

 生きるか死ぬかなんてただの運
本当にそうだ。だから死ぬまではちゃんと生きておかなくては。
 
芹澤が、走っていったすずめを追っていき、そこの景色をみて綺麗だと言う。すずめが、ここが綺麗?と呟くのが印象的で、その芹澤の言葉が唯一の救いだった。それと環さんの親子にも近い愛が、思う以上に深いことも。

ダイジンの、すずめの手でもとにもどしてという言葉は、地球を人間の手で戻せと言われている気がする。

 
俳優さんたちの声はみなさん素晴らしかったです。
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