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すずめの戸締まりのせのネタバレレビュー・内容・結末

すずめの戸締まり(2022年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

 東日本大震災とその後を可視化させようとしたことは良いと思ったけど、東日本大震災の出来事は実際に起こったことで、それをフィクションで上書きすることになんの意味があるのかよく分からなかった。
 “大地震の原因はミミズであり、閉じ師が封じ込めるのを失敗した”という新しい筋書きを作るのは空想や妄想への現実逃避にしかならないと思う。それがケアだと言うのであればなんの解決にもなってない。現実を生きる我々は、その事実を受け入れて生きていくしかないので。
 あと、白要石となったダイジンもかつては人だったのは想定出来てしまうのだけど、その連鎖を断ち切ることは考えなかったのかなと思った。

 女子高生が1人で九州から東北まで行くって警察に通報するレベルで大問題なのに、現地の人達が“家出”で受け入れていて、ありえないくらい呑気だと思った。叔母の説教も、説教になってないし、子供の雑な説明でなんやかんや受け入れる所もちょっとおかしい。
 結局登場人物が主人公のアッシーとメッシーにしかなってなくて、それが、日本人はみんな優しい!日本は安全な国だ!とでも言いたいのかと思うくらい胡散臭かった。
 この映画を象徴するような常世や戸締りのシーンも、俗っぽく彩られた空であり、「鍵」使って「戸締り」するのが西洋的で、いままでの民俗学、宗教的な要素が飾りにしか思えなくなる。設定や景色、人物の描き方も美味しい部分だけ使っているからどうして厨二病臭さを感じてしまう。
不完全なものの美しさが日本や東洋の美の価値観としてあるけど、技巧を求めて絶対的な美を突き詰めようとしてる感じが、西洋的な表現だから矛盾が生まれてる。老子の華麗な色彩と音楽は感覚をくらませるみたいな考えもまさに新海誠はやっているし、そういう伝統を強調するような描き方と表現合ってないからすごく低俗なものに見える。
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