シンタロー

夜を楽しくのシンタローのレビュー・感想・評価

夜を楽しく(1959年製作の映画)
3.6
ロック・ハドソン&ドリス・デイ主演のラブコメディ。
インテリアデザイナーのジャン・モローは、ニューヨークの高級アパートで一人暮らし。共同の電話回線が悩みのタネで、片方が話し中だと一方は電話が使えず、互いの会話は筒抜けで、割り込みも可能な状況だった。この共同回線の相手が、プレイボーイの作曲家ブラッド・アレン。面識のない2人だったが、ブラッドとガールフレンド達のくだらない会話のせいで、いつも電話が使えないジャンはイライラを募らせ、電話で言い争いになることもしばしば。ブラッドは学生時代からの親友ジョナサンがジャンと知り合いで、彼女に片想いしていることを知るが…。
ラブコメディの名コンビといえば、ジャック・レモン&シャーリー・マクレーン、トム・ハンクス&メグ・ライアン、アダム・サンドラー&ドリュー・バリモア等々、時代によって様々ですが、50〜60年代を代表するコンビによる記念すべき一作目がコレ。この年の全米興行成績第5位の大ヒット。ドル箱スターランキングでもハドソンが1位、ドリスが4位と、当時の2人の人気ぶりが窺い知れます。ラブコメの常識が変わり始めた作品で、今では信じられませんがキスシーンには規制があり、夫婦のベッドシーンですらご法度だった時代に、タイトルからして"PILLOW TALK"ですからね。多用されるスプリットカットが印象的で、特にバスタブで足を合わせて会話するシーンは見どころ。今となってはありきたりに感じるストーリーも、当時の時代背景を思いながら観ると味わい深いです。テクニカラーで色彩豊かに描かれる衣装やセット等、細部も非常に美しく、楽しい作品。本作のオマージュ作品にレネー・ゼルウィガー&ユアン・マクレガー主演の「恋は邪魔者」があります。
主演のロック・ハドソンは、ダグラス・サーク作品で評価を高め、「ジャイアンツ」で大スターの仲間入り後、さらに人気を高めたのがドリス・デイとのラブコメディ。ちょっとふっくらしたのか、さらにデカく見えます。コメディのセンスがあるのかといえば微妙ですが、老若男女問わず好感を持たれたルックスで得してます。ドリス・デイとはとても親しくなり、彼女のトーク番組に度々登場。亡くなる前の激ヤセした姿でも出演されています。ドリス・デイは、オープニングの主題歌も担当。枕が飛び交う映像が何とも可笑しい。ハイミスの役とはいえ、この髪型と小麦色のメイク、濃い目のチークは似合ってる?露出度高めですが、セクシーというよりは健康的。日本で人気だったマリリン・モンローやオードリー・ヘプバーン、グレース・ケリーは、圧倒的なスターのオーラがありますが、ドリスはきわめて庶民的。そこが当時のアメリカの女性たちに愛されたのでしょうね。2人のコンビ作の常連となるトニー・ランドール、アル中の家政婦アルマ役セルマ・リッターが絶妙な存在感です。
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