結局カレー

夏へのトンネル、さよならの出口の結局カレーのレビュー・感想・評価

2.9
他の方のレビューをみて「君の名は。」がよぎったのは私だけじゃなかったのだなと。話は違うど新海誠の系譜というか。高校生の青春物語なのに主人公はどこか自分の能力を諦観してたり、どことなく寂しげな空気感に既視感。

過去の後悔をやり直したい、なかったことにしたい、というのは人類最大の望みのひとつ。だから時間を巻き戻したり、時をかけたりする物語ってのは時代を問わず色んなアクセントを加えられながら生み出され続ける魅力的なテーマなんだろう。今作ではウラシマトンネルというギミックが用いられ「願いを叶える(過去をも変える)」ためには、時の流れるスピードが違う空間の探索が必要=実質目先の未来を代償として払わないといけないってのがまぁ切ない。いやでも現実でも同じなのよな。願いを叶えるための努力が消費するものも、過去に囚われ後悔に苛まれ続けることが奪うものも、全部目先の未来。不思議なトンネルとして表現されてたけど、その現実におこる「夢中になっている間に過ぎ去った時間」や「大切なものを失って自分だけ時間が止まったような感覚」みたいな体感する”時間のズレ”が現実とトンネルの”時差”と重なってもみえた。ちょっと語彙が足りん。

まぁ新海誠風味だしありがちな「後悔を払拭するため過去へのタイムリープ」に近しいし偶然出会った女の子は転校生として再会するし一番の思い出はこじんまりとした夏祭りだし「なんか観たことあるなぁ」だらけなのは否めないんだけど、この作品がいってるメッセージは受け取れた気がするからいいや。過去のために今や未来を犠牲にすることはやっぱり幸せを遠ざけるし、数時間で変わる考えもあれば何年も変わらない思いもあるし人間って面白!!(突然のリューク)