《最期を知り、人生が輝く。》
黒澤明監督の不朽の名作”生きる〟を、ノーベル文学賞作家カズオ・イシグロが脚本、名優ビル・ナイ主演で描く、英国版のリメイク作品。
福岡キャナルシティ・ユナイテッドシネマにて。
黒澤監督の”生きる〟を最初に観たのは20代前半だった。
志村喬がブランコに座り”ゴンドラの唄〟を歌う光景が印象深い。
ただ、当時の自分が未熟だったため、”死〟をリアルに受け入れるにはまだ早かった。
40代の今だからこそ、感じるものがある。
やはり映画は、観る人の年齢、経験値、その時の環境で感じ方が変わるもの…
英国らしい気品で満たされていて、ビル・ナイの抑制の効いた演技が素晴らしい‼︎
英国紳士の”男の美学〟。
子どもの頃から”紳士〟になりたかった男の最期。
”何事も手柄が得られるからやるのではない。世間から称賛されるからやるのではなく、自分のなすべきことだからやるのだ〟
スペインの巨匠アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督の傑作”ビューティフル〟にも通じる”死生観〟。
それは、人間は”死〟を意識すると人生の景色が変わり、すべてが愛おしく、美しくなる…
そして本当の意味で”生きる〟ことを知る。
自分もそうやって”人生〟と向き合う時がくるのだろうか…