なんゆう

生きる LIVINGのなんゆうのレビュー・感想・評価

生きる LIVING(2022年製作の映画)
4.3
黒澤明監督の「生きる」を観たのは随分前、今から思えば若い頃だった。そして、今、この映画を観た。あぁ黒澤版を観た時も同じ気持ちになれただろうか、と感じた。もう一度オリジナルを観てみたくなった。
主演のビル・レイは御歳70歳を超えているし、自分がその歳まで現役で働いているか分からないけれど、役所で真面目に勤めてきたけれど楽しみ方の分からず、ゾンビみたいに過ごしていたのが、なすべきことのために生きようとするようになっていくのを、本当に情感を込めて演じていた。さすがにアカデミー賞主演男優賞にノミネートされた演技だった。
この映画には、様々なエピソードが込められていた。楽しみって何だろう(あの作家は思っただろう)。息子への愛情。息子自身の葛藤。職場の同僚たちのそれぞれのありさま。最後の警察官の後悔…
はたから見れば「老いらくの恋」と言われるかもしれなくても、フォートナム&メイソンで若い女性がこちそうしたパフェを喜んで食べてくれれば、それだけでうれしくなる気持ちは分かりました。
エイミー・ルー・ウッドという女優さんの演技は、とてもキラキラしていたり優しかったり情にあふれていたりして、とてもよかったです。
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