とや

生きる LIVINGのとやのレビュー・感想・評価

生きる LIVING(2022年製作の映画)
4.5
1週間前に観た映画の話をするね!
「生きる Living」
区役所勤務の実直な男性が、ある日癌宣告を受けて、自分の人生と向き合うという、黒澤映画の名作をイギリスがリメイクした作品。

とにかく泣いた。

なにに泣いたかというと、主演ビルナイのすべてがとても美しかったからだ。自分に起こったことを家族にも話す事ができなかった、家族だからこそ起こりうる絶望をありありと観たからだし、泣き叫び出したくなる状況でなお平静を装う英国紳士としての佇まいを崩さぬビルナイの抑えた演技が本当に泣けた。

あと、数年前に起こったごく個人的なことを思い出してさらに泣けた。旅立つ親の気持ちも、残された子の気持ちも、めっちゃわかる。もしわたしが余命宣告されて、打ち明けられる人はいるんだろうか。

そんな中で、ビルナイ演じるウィリアムズは見つめる。ずっと前に失った愛する妻との思い出のナナカマドの歌をベロベロになったナイトバーで朗々と歌う。偶然再開する退職した職場の女の子にこっそり自分の仇名が「ミスターゾンビ」と教えられる。
その女の子・マーガレットちゃんがとってもチャーミングで可愛かった。彼女の天使のような可愛らしさや天真爛漫さにウィリアムズが触れるうちに自分の生きる道を取り戻していく様がとてもよかった。

映画館・UFOキャッチャー・公園のベンチ。感性がビンビンになってしまったわたしは、映画に出てきた印象的なものをみると、少し泣きそうになってしまう。

人生を終えても、あなたやわたしが居なくなっても、道や場所には思い出が染みている。そこで新しい人が素敵な思い出を作る。取るに足らないことでも成し遂げたときに得る満足感で生きていける。
残された時間で成すことと、消えた後でも残る想いをやさしく描いた映画だと思う。

とにかく美しくてやさしい映画だった。とっても観てよかった。オススメしてくれてありがとう友達!!!!!
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