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生きる LIVINGのknitamiのネタバレレビュー・内容・結末

生きる LIVING(2022年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

志村喬が演じた、周囲の人が困惑するような必死さ。そこまでして成し遂げたささやかな達成、ブランコの場面。死ぬ気でやれば人のためになることを成し遂げられるし、そこに生きている意味がある、という話に思えた。
比べながら見るつもりはなかったけれど、こちらのリメイクは、「何を為すか」ではなく、「何になるか」の話に思えた。ビル・ナイはチャーミングで余裕があって、周囲の人に気遣いもできて、子供の頃に憧れた紳士になって生涯を終えたという話。

あと、オリジナルは未来へ、リメイク版は過去へと向かっていくような印象を受けた。1950年代の世相については、日本のこともイギリスのことも知らないけれど、戦争に勝った方負けた方で全然雰囲気違うだろうとは思う。
寿命という期限で目覚めて、自分にできる限りのことをして未来に何かを残そうとするオリジナル版。
リメイク版は、憧れも歌も、良きものは全て過去にある。自分をごまかし続けた男は紳士になって去っていったけれど、大英帝国はどうかな、「日の名残」のように、もう取り返しがつかないことになってない?過去は良かったけど。という話にも思える。
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