ねおねお

生きる LIVINGのねおねおのレビュー・感想・評価

生きる LIVING(2022年製作の映画)
3.5
「生きることなく、人生を終えたくない」。
深く深く突き刺さる言葉だった。
特に現代の人間は死ぬ前にやっと生きられるのかもしれない。
抜け殻のようになった主人公が、死ぬ前にちゃんと生きることに貪欲になれてよかった。
自分のあだ名が「Mr.ゾンビ」だと知る瞬間がとても良かった。

貪欲に生きることが公務員として公園を作ることだったのは、彼が子供が帰り際に駄々をこねることこそが生きることの本質だと考えていたからだろう。子供たちの生きる場所を守り、作ること、そして生きることがどういうことかを後輩に伝えることが自分の生きた意味だと実感できたんだろう。

食べたいものを食べ、笑い、嫌なことは嫌と言い、それでも置かれた立場で楽しもうとする人でありたいと強く思う。


イギリスっぽさが詰まった映画。日本人にも大いに共感できる感覚だが、ある種淡々としたストーリーなので万人受けはしないだろうと思う。
静かに深くゆっくりわかる面白さ。
自分が「生きて」いない感覚が少しでもある人に届きますように。
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