バンバンビガロ

生きる LIVINGのバンバンビガロのレビュー・感想・評価

生きる LIVING(2022年製作の映画)
3.6
黒澤明の『生きる』の英国版リメイク。ストーリーに大きな変更点はないが全体の尺がかなり短くなっており、それに伴いもともとの映画の泥臭くいなたい感じの描写はバッサリ切られていて、ビル・ナイ演じる主人公もどこか威厳と気品のある感じで、志村喬の気弱で情けない感じの中年とはかなりテイストが異なる。
オリジナルは主人公が余命があとわずかであると知ったことをきっかけに人生を生きなおすという話で、リメイク版もそれは同じなのだけれど、そこには単に生まれ変わるというのではなくジェントルマンとしての初心を取り戻すというニュアンスが加えられている。
余命を宣告された老人がジェントルマンを志した頃の思いを取り戻し市民のために奔走する本作は、現代に失われつつあるノブレス・オブリージュの心を改めて問い直すものになっており、それこそがこの映画を今リメイクした狙いなのではないかと思う。
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