なだ

生きる LIVINGのなだのネタバレレビュー・内容・結末

生きる LIVING(2022年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

鑑賞してからすぐにレビュー出来なかったのは単純に今作は黒澤明の「生きる」とは別物のような気がしたから。

リメイクと公言したストーリーは、流れや人物像は確かに同じようだが、その国その場所の地盤によってこうも印象が違うものになるんだなと思った。

志村喬は武士道の国に生きた男。
ビル・ナイは騎士道の国に生きた男。
2人の名優が死を目前にしたつまらない男に命を吹き込む演技は圧倒される。

志村喬の演じる渡辺が武士道精神の宿る人物かは疑問に思うが、日本の官僚の嫌な部分、事なかれ主義が余命を知り変化する命の使い切り方は今も心に残る。

ビル・ナイもまた少し甘えたような人の弱さをみせてからの朽果てた空地をみて義憤し公園に変えようと努力する。

人の為に自分の命と引換えに生きた証を残そうとする描写は日本も英国も人種を越えて変わりはない。

選曲に賛否はあるが、名シーンの雪降るブランコに乗り歌われる「ナナカマドの歌」は素晴らしかった。

「ナナカマド」とは諸説あるが7回火に焚べても燃え続ける木のことで、自分の命が果ててもこの公園に生きた証が燃え続けるよう祈りを込めているようで涙しました😢

そして実の父に病気を打ち明けて貰えなかった息子の気持は、自分が父親にした仕打ちを後悔させるようだ…多分息子はこの件で一生の心の傷を負うのだろう。








余談
ナナカマドについてのイメージは、私が小学生の頃に姉の友人が出演する「ナナカマドの挽歌」(木村元保監督)という映画に由来するものです。
特別に撮影現場を見学させて貰ったので、作品をもう一度ちゃんと観たいのですが見つからず…でもこの体験が、演劇や映画好きになった原点のような気がします。











追記:鑑賞時記憶_φ(・_・

英国紳士の集団出勤はモンティ・パイソンの「バカ歩き省」(Silly walk)を思い出す。
こういう風景からあの伝説のコントが生まれたのかなと思うとちょっと胸熱。
なだ

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