炭酸煎餅

生きる LIVINGの炭酸煎餅のレビュー・感想・評価

生きる LIVING(2022年製作の映画)
4.3
黒澤明監督、志村喬主演の「生きる」の英国版リメイク。
オリジナルが2時間半近い作品なのに対して本作は40分近く短くなっている事に実は多少の不安を持ちながら観に行ったんですが、観終わって結果的には非常に良い翻案作品になっているという印象を受けました。

オリジナルの息を呑むような、時に背筋にぞくりと来るような「鬼気迫る」迫力はスポイルされているんですが(これは志村喬とビル・ナイという演者と演技の違いにも依る所が大きいと思いますが)、おそらくあらすじレベルでは全く同じに見えてしまいそうな脚本を使いながら、全編に渡ってセリフやキャラクター、シチュエーションへ細々としたアレンジを入れる事でこんなにも雰囲気の違うビターなヒューマンドラマを作り出したのは脚本の妙、アレンジの巧さを感じました。(しかもこれ、ちゃんと「ロンドンでの話」に見えるんですよね……)

「再現性の高さ」という評価軸では確かに点数は減るかなとは思うんですが、個人的にはリメイクだからって「もう見た」事をやってもしょうがないと思うので、その辺りに抵抗感が少なければオリジナルをご存じの方には本作はオススメしたいですし、本作の方を先に観て良かったと思った方にはオリジナル版もぜひご覧になっていただきたいなと思いました。
炭酸煎餅

炭酸煎餅