黒澤明監督の「生きる」を、カズオイシグロ脚本、ビル・ナイ主演で忠実にリメイクした静謐な作品。
妻を早くに失いゾンビのように生きてきた役所の課長。
ある日、残り半年の余命宣告をうけ、初めて仕事を無断欠勤する。
海辺で出会った劇作家、もと同僚の若く明るい女性など、いままで見えていなかった輝きに気づく。
仕事とは?幸せとは?
そして、生きるとは?
期待しまくっていた前回のアカデミー候補たちは実際にはピンとこなかったものが多く、個人的には、今更になって観れた本作が、もっとも琴線に触れた一本になった。
彼に関わった人々が語る、別人になったかのような彼の人生最後の輝き。演出もみごと。
“彼はきっとあの時一番、幸せだったんだよ”
僕もそろそろもうひとつ、生きた証になるような仕事をやれるかな?