緩やかさ

生きる LIVINGの緩やかさのレビュー・感想・評価

生きる LIVING(2022年製作の映画)
3.7
一応比べますよ。
黒澤版の胸がきゅーっとなる切実さはないのですが、代わりにじわじわじわっと来る、おじさんの生き直しの希望と暖かさが伝わってきました。
どっちもいい!

1953年のイギリスが舞台となっていて、これは1952年製作の黒澤版とほぼ同時代。
オリジナル版の製作が戦後まもない時期と思うとあらためていろいろな感慨が湧く。

本作の美術も服飾も音楽もうっとりする良さでした


よく見ないで再生したからキービジュアルの印象でリーアム・ニーソン主演かと勘違いしてた笑

ビル・ナイ渋い。声がしわしわ。
撮影時70歳超えだから市役所の課長にしてはちゃん爺過ぎる。(志村喬は40代でした)
フィルモグラフィーが膨大だけどほとんど観たことない作品。(アバウトタイムだけかも)
(ラブアクチュアリーって観たのか観てないのか覚えてない、、観た気がするけど)


若者2人が素晴らしい。
特にハリス嬢役のエイミー・ルー・ウッド。初見の役者さんだけど、エイミー、この役はキミじゃなきゃダメなんだ。

息子さんもこの状況は苦しいね。悲し過ぎるよ。

志村喬がベンチで歌う「ゴンドラの唄」は、スコットランド民謡の「ナナカマドの木」という楽曲になりました。
聴いたことあるようなないような曲。
命短し〜、とはまた違うけど、家族愛が滲む歌詞ですごく切なくて素晴らしい曲でした。
おじさんがパブで歌うシーンは絶対泣いちゃうね。


手元のメモによると、私は2010年の3月に「生きる」の劇場リバイバル上映を観ました(たぶん銀座で)。

既にまあまあ大人でしたが、これから毎日を日々真剣に大切に生きようと心に誓ったものです。

あれから早13年。作中の市役所の同僚職員たちのようにすぐに忘れてしまうのです。

そのことを伝えるために黒澤監督が描いた後日譚を本作イギリス版も誠実に伝えていると思います。
またすぐ忘れそうですが、今日は誓いたいです、誓いますと言っておきます。
緩やかさ

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